ナノ粒子配列基板の製造

2012-0712-06
研究者名
所属
専門分野
デバイス関連化学,ナノバイオサイエンス,電子・電気材料工学
キーワード

背景

現在のハードディスク媒体はスパッタリング法を用いて成膜され,記録密度の伸び率は以前の年率100%に較べ現在は40%程度まで緩やかになってきている.これはこの10年間の磁気記録を支えてきた媒体構造が,技術進歩により実現されてきているためと言える.1Tビット以上を凌駕する数Tビットの記録密度の未来媒体実現のためには,材料を含めたシステムの根本的な転換が求められている.

シーズ概要

化学合成法により得られる粒径数ナノメートルの磁性粒子1つを1記録ビットとするビットパターン型垂直磁気媒体(BPM)を実現するためのナノ粒子の配列技術を提供する.図は,物理的ガイドを設けた基板上に有機分子を化学修飾して,その上にFePt粒子を並べた様子を観察したSEM像である.粒子のある程度の規則配列集団は,粒子分散溶液の乾燥時に出来るメニスカス表面に形成されているが,規則配列集団は様々な向きを持つことが可能である.このため基板に固定化された粒子の配列には,数10から数100 nmナノメートルの大きさのドメインが見られるようになり,この範囲で粒子配列に乱れを生じさせる.また,ごく僅かの粒径の差によっても粒子間に働く力が不均等になり,同じく配列に乱れを誘起させる原因とになる.物理的ガイドは,より強い力でこのドメインの乱れを防止する役割としてために設けている.

応用・展開

ビットパターン型の垂直磁気記録媒体.量子ドットデバイス.

優位性

ナノ粒子規則配列の革新的技術である.物理グリッドの大きさは,100nm程度で十分であり,現行のパターン作製技術の利用が可能である.産業化の視点では,本配列技術は真空を必要としない大気下のウエット技術であるため安価にシステムを組み立てられることが考えられる.

提供目的

受託研究、共同研究、技術相談

資料

  • オールウエットによる微細配線形成プロセス

関連論文

  • 1佐藤 亘, 蜂巣琢磨, 杉山敦史, 水野 潤, 庄子習一, 逢坂哲彌,「ビットパターンメディアへの適用に向けたFePtナノ粒子の規則配列化」, IEICE Tech. Rep., Vol. 111, No. 307, MR2011-24, pp. 31-34 (2011).
  • 2.T. Hachisu, W. Sato, S. Ishizuka, A. Sugiyama, J. Mizuno, T. Osaka, “Injection of Synthesized FePt Nanoparticles in Hole-Patterns for Bit Patterned Media”, J. Magn. Magn. Mater., 324, 303-308, (2012).
掲載日: 2012/07/12