排水中の成分除去・回収システム

背景

快適な水環境を構築するための水処理システムがあるが、処理の過程で生成する固形物の処理を考慮したプロセスは少ない。また、資源の有限性を考慮すると、物質回収・循環型排水処理システムの構築が望まれる。

シーズ概要

排水の持つ低濃度、多成分という特性を考え、目的成分を選択的に、かつ安定な形態で除去・回収しうるシステムとして晶析現象を利用する。

応用・展開

●下水などの生活排水、あるいは農業関連排水中のリン酸イオンの除去回収(回収物:リン酸マグネシウムアンモニウム、リン酸カルシウムなど)
●フッ素含有産業排水を対象としたフッ素回収(回収物:フッ化カルシウム)
●ニッケルメッキ廃液などからの金属イオン回収(回収物:金属炭酸塩、金属硫酸塩など)
この他、ホウ酸やヒ素、廃棄物からの目的成分の分離も可能である。

優位性

晶析現象を利用するため、沈殿と比較して、目的の物質を選択的に高純度結晶の形で回収することができる。
また、得られる結晶がミリメートルオーダーの大きさであるため、取扱が容易である。
さらに、食品や医薬品の精製、結晶構造制御等にも応用可能な知見を有している。

提供目的

受託研究、共同研究

資料

  • 回収されたフッ化カルシウム2mm
  • 回収されたMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)1mm

関連論文

  • 1. Y. Shimizu, Izumi Hirasawa, Removal and Recovery of Ionic Substance from the Wastewater by Seeded Reactive Crystallization., Chemical Engineering Technology, in print (2012)
  • 2. Izumi Hirasawa and Kyoko Ishibashi, Recovery of Anion in the Wastewater as Resources Based on Crystallization Engineering, Journal of MMIJ Vol.124, No.1, 1-6 (2008)
  • 3. Shimamura, H. Ishikawa, A. Mizuoka and I. Hirasawa, Development of a process for the recovery of phosphorus resource from digested sludge by crystallization technology, Journal Water Science and Technology Vol 57, No.3 451-456 (2008)
  • 4. 島村和彰、石川英之、平沢泉、晶析技術を利用した下水からのリン回収プロセスの開発、用水と排水、Vol.49, No.9. 64-70 (2007)
掲載日: 2012/06/19