動作エラーと運動学習の脳内処理機構

背景

意図した動作を仕損じた際に、脳の処理機構で生じる神経活動(事象関連電位のエラー関連陰性電位)と、行動や注意・情動・眠気などとの関連について研究を行っている。実際の動作をモニタリングして、狙った動作とのズレを減らしていくことは、運動学習を支える機構である。ここで得られる知見は、スポーツを含めた種々の動作のスキル向上に必要な方法と科学的根拠を与えるものと考えられる。

シーズ概要

前帯状皮質(anterior cingulate cortex)の活動をエラー関連陰性電位から測定。注意や報酬に伴う学習の進行過程について、脳波や脳イメージング、TMS(経頭蓋磁気刺激法)、アイトラッカー(眼球運動計測)等を用いて分析する。

応用・展開

ゲームやデバイス開発における脳波を用いた操作アプリケーション、脳波測定法のアドバイスが可能。スポーツにおける習熟プロセス、試合や本番での「あがり」「緊張」の対処、ヒューマンエラーの防止、眼球運動に注目したスポーツスキルの向上、有酸素運動による脳機能向上・改善サポートなど。脳機能計測による神経経済学的研究。

優位性

fMRI(機能的核磁気共鳴画像法)と32チャネル脳波計との同時計測、128チャネル脳波計やTMSを用いた脳機能データ収集が可能であり、情動・注意、運動と脳活動との関係を分析できる。

提供目的

受託研究、共同研究、技術相談

資料

  • 図1 実験風景写真

関連論文

  • 1. Masaki H. Murphy T.I. Kamijo K. Yamazaki K. & Sommer W. Foreshadowing of performance accuracy by event-related potentials: Evidence from a minimal-conflict task. PlosOne 2012, 7(5)/e38006
  • 2. Masaki,H. & Sommer,W. Cognitive neuroscience of motor learning and motor control. Journal of Physical Fitness and Sports Medicine, 2012, 1(3)/369-380
  • 3. Masaki H. Sommer W. Takasawa N. & Yamazaki K. Neural mechanisms of timing control in a coincident timing task.Experimental Brain Research 2012, 218(2)/215-226
  • 4. Masaki H. Murphy T.I. Desjardins J.A. & Segalowitz S.J. The error-related negativity associated with different strength of stimulus-response interference. Clinical Neurophysiology 2012, 123/689-699
掲載日: 2013/01/30