フォトカソードRFガンを用いた逆コンプトン散乱軟X線源の開発

2012-0903-04
研究者名
所属
専門分野
原子力学,素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理,物理化学
キーワード

背景

医療現場では、よりコンパクトで高品質なX線源の開発が期待されている。

シーズ概要

■フォトカソードRFガンを用いた逆コンプトン散乱軟X線源の開発


本研究は、生体観測用軟X線顕微鏡への応用を最終目的とする、逆コンプトン散乱を用いたコンパクトで高品質な軟X線源の開発である。逆コンプトン散乱とは、高エネルギーの電子と長波長の光が衝突することでより短波長の光が得られる現象であり、一般によく知られているコンプトン散乱の逆過程にあたる。 鷲尾研究室では、フォトカソードRFガンを用いた高品質電子ビーム源の開発とその応用研究を進めており、本研究はその応用実験の一つとして位置づけられ、これまでに逆コンプトン散乱による軟X線生成と検出に成功している。

応用・展開

生体観測用軟X線顕微鏡への応用等、医学・生物学への応用

優位性

鷲尾研究室のシステムで生成されるX線は、フォトカソードRFガンで生成した高エネルギー電子ビームと赤外線(IR)レーザーを衝突させることで、200-500eVの「水の窓」と呼ばれるエネルギー領域の軟X線を得る。この領域の軟X線は、水による吸収が極めて少ない一方で、生体組織の構成元素である炭素及び窒素による吸収が大きく、生体組織を脱水処理することなく生きたままの状態で観察可能な生体観測用高分解能軟X線顕微鏡に利用できることが既に実証されている。鷲尾研究室で開発している逆コンプトン散乱を用いた軟X線源は、放射光施設などの一般的な高品質軟X線源に比べて非常にコンパクトであり、中規模以下の医療及び研究施設への普及を実現するキーテクノロジーとして期待されている。

提供目的

受託研究、共同研究、技術相談

備考

所属学会:日本放射線化学会、日本物理学会、日本化学会、高分子学会、原子力学会、ラドテック研究会

資料

  • 高品質電子ビーム発生装置
  • 医学・生物学分野に有用なエネルギー帯のX線
  • X線生成試験と今後
  • 喜久井町X線システム(逆コンプトン散乱を用いた軟X線源はコンパクト;従来のものとの比較)

関連特許

  • 特願2010-140546 「光陰極高周波電子銃、および光陰極高周波電子銃を備えた電子線装置」
掲載日: 2012/09/03