ナノ粒子発光体フィルムの作製および太陽電池への適用など

2012-1019-01
研究者名
所属
専門分野
無機材料・物性 ,電子・電気材料工学,生体医工学・生体材料学
キーワード

背景

太陽光発電はクリーンで再生可能なエネルギーとして注目され、研究が進められていおり、本研究室では、変換効率が高く、シェアの高いシリコン太陽電池に着目している。
シリコン太陽電池の分光感度と太陽光のスペクトルは一致していないため、シリコン太陽電池は400nm付近の短波長光を有効に利用することができないという問題点があったが、これを改善し、短波長光を長波長光に波長変換し、太陽電池にとって感度の低い短波長光を有効に利用した。
本研究室では、ナノ粒子発光体フィルムを作製し、その特性を評価して、太陽電池への適用等を研究している。

シーズ概要

本研究室では、 数nmのナノ粒子発光体をボールミル粉砕方法で製造した。 ナノ粒子発光体を使用して、全波長領域で90%以上の透過率を有する透明薄膜を作製した。

太陽電池上に以下の条件を満たす赤色蛍光体透明薄膜を作製する。
①短波長光を長波長光に波長変換
②長波長光はそのまま透過(→ナノ粒子を使用)
赤色蛍光体として以下の2種類の材料を使用
・硫化物蛍光体 Ba2ZnS3:Mn(BZS)
・窒化物蛍光体 CaAlSiN3:Eu(CASN)

硫化物蛍光体は古くから研究が進められているが、当研究室ではボールミル法によって数nmにナノサイズ化可能であり、これを用いて、分散性のある透過率の高い透明薄膜を作製した。

窒化物蛍光体は、酸化物、硫化物蛍光体に比して発光効率、耐久性が優れている。よって、本研究室では、ナノサイズ化の条件を検討中であり、波長変換を行う数十nmの粒子を得られた。
そして、フォトダイオード上に透明薄膜を作製し、短波長光領域で波長変換が行われたことが確認できている。

応用・展開

マルチカラーのナノ粒子発光体を付着させて、防犯・保安用途等さまざまなものに使用できる。
ナノ粒子作製条件の改善により、発光強度向上の可能性もある。
透明薄膜上にはナノ粒子のうち大きい粒子の混入も見られ、一部に凝集性も認められるが、ナノ粒子の粒径や凝集性を更に制御できれば、更に透過率向上の余地もあり、それが達成されると更に効率のよい波長変換用透明薄膜の作製が可能となり、用途が拡がる。

優位性

安価に大量生産することが可能である。安全な物質を用いているため地球環境にも有益である。

提供目的

受託研究、共同研究、技術相談

資料

  • ボールミル粉砕装置で作製されたナノ粒子のTEM画像と粒径分布(無断転用禁止)
  • 薄膜製造方法(図)と、薄膜(写真)および透過率を示す(グラフ)(無断転用禁止)
掲載日: 2012/10/19