エネルギー予測と環境対策シナリオ作成

背景

2011 年3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震を受け、冷房需要が大幅に増大する夏季には電力不足がさらに深刻になることが予想され、政府は一部需要家に対しピーク電力削減を義務化した。節電を実行する場合、空調・照明等の使用範囲や設定を制限することとなり、室内環境に対してある程度の我慢を強いられることから、執務者の知的生産性が低下する可能性がある。

シーズ概要

生産性と快適性を損なわずに高いエネルギー削減効果をもたらす持続可能な節電手法を探ることを目的として、夏季節電環境下の複数のオフィスビルを対象とした実態調査を行った。


[研究成果]
温度を上げるよりも照度を下げる方が、不満足者率が小さく知的生産性を維持できること、また電力削減効果が大きいことが明らかにされた
節電を行う際には、照明の節電を優先的に行い、タスクライトの設置やフロアを占有する執務者の属性に応じた適切な節電手法を選択することで、執務者の快適性や生産性を損なうことなく効果的に消費電力量を削減できると考えられる。

応用・展開

2012年度についても節電に対する意識調査、フォローアップを行う

優位性

節電という特殊な環境下において室内環境を詳細かつ複数の実オフィスにて測定した事例は少ない
今後予想される国内のエネルギー需要の変化に向けて、知的生産性と省エネルギーの両立に有効な節電手法を提示した

提供目的

受託研究、共同研究、技術相談

資料

  • 測定対象建物…6棟の測定を実施
  • 節電意識…アンケート調査結果

関連論文

  • ・Shin-ichi TANABE, Indoor Environmental and Productivity in Offices under Saving Electricity Caused by the, Healthy Buildings, Australia, 2012
  • ・田辺他, 東日本大震災後の節電環境下における夏季オフィスの快適性・知的生産性・エネルギー消費量(第1報)節電意識と物理環境測定結果, 空気調和・衛生工学会大会梗概集, 2012
  • ・對馬他, 東日本大震災後の節電環境下における夏季オフィスの快適性・知的生産性・エネルギー消費量(第2報)各環境満足度とエネルギー消費量, 空気調和・衛生工学会大会梗概集, 2012
掲載日: 2012/10/01