心臓弁の無細胞化

背景

心臓弁膜症の手術に用いられる代用弁には、機械弁、異種生体弁(ウシやブタの心臓弁を利用)、同種生体弁(ドナーから適用)などがある。機械弁では抗血液凝固剤を服用し続ける必要があり、異種生体弁では拒絶反応をヒトに適用するための化学処理の影響により耐用年数が短い。また、同種生体弁ではドナーが不足しているなど、それぞれに課題を抱えている。

シーズ概要

異種生体弁の耐用年数を延ばす手段のひとつとして、化学処理をせずに組織無細胞化したブタ心臓弁を提供できる。独自に開発したマイクロ波照射及び生体内環境の再現(拍動による界面活性剤の流量・圧力制御)により、組織自体に傷を付けないため高い強度のまま無細胞化した組織を得られる。さらに、無細胞化したブタ心臓弁表面にヒト内皮細胞を増殖させる技術も持つため、より拒絶反応の少ない移植を実現できる。

応用・展開

ヒトへの適用のためには滅菌技術の最適化が必要である。
心臓弁の開発で培ったノウハウを用いて、血管や腱、心膜の無細胞化にも成功しており、特に力のかかる部位である腱への適用を推進したい。

優位性

ブタやネコへの無細胞化心臓弁の移植は既に成功している。
流体力学(血流)・生体力学に関するノウハウも持っているため、人工的に様々な生体内環境を作り上げることができ、研究開発の段階からヒト生体内環境を意識して進めることができる。

提供目的

受託研究、共同研究、技術相談
掲載日: 2011/09/09