表題番号:2026C-265 日付:2026/04/07
研究課題大学初年次教育における「線形代数」の目的と意義
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) グローバル・エデュケーション・センター 教授 曽布川 拓也
研究成果概要

高等学校における数学のカリキュラムの変遷を経て、線形代数に関連する内容(行列・ベクトルなど)がかなり薄く扱われるようになった。一方でAI技術の進展やデータ科学の必要性が見られる昨今、「理系」に限らず多くの学生にこの分野の教育は必要とされる。本研究においては、予備知識をあまり仮定しない形でスタートし、それでいてある程度のレベルまで到達するカリキュラムを作成し、実装する準備を行った。

 具体的には次のようなカリキュラムである。

1)予備知識として中学校数学科および高等学校数学Ⅰ程度の内容(2元連立1次方程式、12次方程式)のみを仮定する。

22次方程式の解の公式の導入、整式の割り算および3次以上の方程式の復習(剰余の定理・因数定理)を経て、3元連立方程式の解の公式(クラメールの公式)から行列式の概念を導入する。ここでは従来行われてきた行列の計算や順列のパリティ(偶奇)などは使わない。

3)連立方程式の議論を進めながら、3次の行列式の余因子展開を導入した。この段階で自由度を持つ連立方程式の議論を整備し、いわゆる「加減法」をより使いやすい形で書き直す。

4)自由度を持つ連立方程式の解から解空間を導入、線形空間やアフィン空間の議論を行う。

5)より進化させた「加減法」を用いて4元連立方程式の解の公式を求め、その段階で逆に余因子展開を用いる形で4次の行列式を自然に定義する。

64)で導入した線形空間の議論から線形変換の概念を導入する。ここでは行列は表現行列として紹介するにとどめ、変換の概念を中心として議論を構築する。

7)個々の線形変換の性質を表す指標として固有値・固有空間を導入、マルコフ過程への応用などを行う。

 この成果は2026年度からグローバル・エデュケーション・センターにて新規開講する「数学基礎プラスα・β(線形システム編)」の授業内容として実装する。