表題番号:2025R-071
日付:2026/04/03
研究課題深層学習を用いた広範囲、高精度、高信頼性を持つ気液二相流マルチメーターの基盤研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 佐藤 哲也 |
- 研究成果概要
本課題では、気液二相流を広範囲・高精度・高信頼性で計測可能なマルチメーターの実現に向け、データ駆動型手法の基盤構築を目的とした。気液二相流はロケット推進系やエネルギー輸送など多様な分野に現れる重要な現象であるが、流動様式の多様性に加え、時間的・空間的な非定常性を有するため、単一の計測手法で高精度かつ広範囲に対応することは容易ではない。また、既存の可視化手法や接触型センサは、実機環境での適用に制約がある。
そこで本研究では、研究室で開発したらせん形状の静電容量型ボイド率センサを用い、非接触・非可視で取得した時系列データに対して解析を行った。解析には、限られたデータ数でも安定して適用可能で、かつ物理的な解釈が可能な機械学習手法(kNNおよびSVM)を用いた。さらに、確率密度関数に基づく特徴量を導入し、ボイド率信号の統計的な構造を整理することで、流動様式間の違いを定量的に評価した。その結果、気泡流・プラグ流・スラグ流・環状流・層状流の5分類において、SVMにより最大82.1%の分類精度を得た。また、入力データ長を短縮した場合についても検討し、1秒程度のデータでも約75%の精度を維持できることから、リアルタイム計測への適用可能性を確認した。これにより、非侵襲性と高速応答性を両立する計測手法としての有効性が示された。
今年度は、モデルの再現性および信頼性を重視し、ブラックボックス性の低い機械学習手法を採用した。一方で、本研究で整理した特徴量およびデータ基盤は、今後の深層学習への展開を視野に入れたものである。今後はデータ量の拡充とともに深層学習モデルを導入し、非線形性の強い現象への対応や汎化性能の向上を図る。また、流動様式の識別と流量推定を統合したマルチメーターの実現に向けて検討を進める。