表題番号:2025R-067 日付:2026/04/01
研究課題加齢や肉離れ既往に伴う肉離れ受傷リスク増加は本当に対策不可能なのか?
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学学術院 スポーツ科学部 教授 宮本 直和
研究成果概要
ハムストリング、特にその一つである大腿二頭筋長頭の肉離れは、サッカーやラグビー、陸上競技において極めて再発率の高い外傷である。過去の受傷歴は将来の受傷の強力なリスク因子とされるが、受傷歴があるとなぜ再受傷率が高まるのか、その詳細は不明である。本研究では、超音波剪断波エラストグラフィを用い、大腿二頭筋長頭の肉離れ受傷後における筋スティフネスの変化を、横断的および縦断的な視点から検討した。
横断的検討では、片脚にのみ大腿二頭筋長頭の肉離れ歴を持つ陸上短距離選手を対象に、既往歴がある脚とない脚の筋スティフネスを比較した。縦断的検討では、実際に大腿二頭筋長頭の肉離れを発症した選手を対象として、受傷前から受傷直後、リハビリテーション期、および競技復帰時における筋スティフネスの推移を追跡調査した。
横断的検討の結果、大腿二頭筋長頭の肉離れ既往歴がある脚では、既往歴がない脚と比較して筋スティフネスが有意に高いことが示された。また縦断的調査では、リハビリテーション期から筋スティフネスが増加する傾向が見られ、競技復帰時においても受傷前の水準まで回復せず、筋スティフネスの増加が残存していることが認められた。
本研究により、大腿二頭筋長頭の肉離れ受傷後に筋スティフネスが増加し、それが競技復帰後も持続することが実証された。この筋スティフネス増加の残存が、再受傷を誘発する一因となっている可能性がある。今後のアスリート支援やリハビリテーションにおいては、筋力の回復だけでなく、組織の質的評価を行い、筋スティフネスの改善に着目したアプローチを導入することが重要であると考えられる。