| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 本庄高等学院 | 教諭 | 羽田 真 |
- 研究成果概要
本研究の目的は、社会科における法教育の在り方についての検討の一例として、日韓両国が共通して直面する「水問題」を題材に、法的な解決能力と地球市民としての責任感を養う「グローバル・シティズンシップ育成プログラム」を開発・実践し、その教育的効果を検証することにある。従来の法教育は国内の法秩序維持に重点が置かれがちであったが、環境問題のような国境を越える課題においては、国際的な権利・義務関係を理解し、合意形成を図る能力が不可欠である。本研究では、日韓の生徒が協働的に学ぶプロセスを通じて、多角的な視点から法の役割を捉え直す契機を創出することを目指した。
本研究では、以下の三段階にわたる国際学術交流プログラムを開発・実施した。
水問題に関する基礎的文献研究を行い、プログラムの背景となるバックグラウンドガイドを作成した。特に、日韓におけるそれぞれの水問題をどうとらえるかについて研究を進めた。
次に、韓国の高等学校の協力を得て、オンライン及び対面による国際学術交流を実施した。生徒はグループによる研究発表や討論、フィールドワーク、ワークショップを通じ、水問題についての問題解決的学習に取り組んだ。
参加生徒や関係教職員を対象としたリフレクションアンケートを実施し、内容分析を行った。水問題は単なる科学的課題というだけでなく、利害調整を要する政治的・法的な課題であるとの認識を育て、東アジアの運命共同体である日韓両国の未来志向的な協力関係の重要性を見出すことができた。特に、日韓両国の歴史的・文化的差異や政治的軋轢を乗り越えて、実効的なグローバル・シティズンシップを涵養するための要件について、ノンバーバルな交流が意義をもつことを実証できたことは意義深い。今後はプログラムの再現性を高め、持続可能な法教育モデルの一つとして体系的に整理していくことが課題である。