表題番号:2025R-054 日付:2026/01/04
研究課題産業史及び産業遺産を中等教育の理科分野に効果的に導入できる教材の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 竹田 淳一郎
研究成果概要

【概要】

私は,東京書籍の教科書編集委員として2021年度,2025年度に発行された中学校理科の教科書の執筆を行った(新しい科学(中学校理科検定済教科書 中学3年生 単元123章メイン執筆)および指導書 2025.4 東京書籍)。教科書には所々で産業史,産業遺産の話題が挿入されるため,私も執筆を担当した中学3年生の化学分野で乾電池の発明者で乾電池王と呼ばれた屋井先蔵についてのコラムを書いたが,あくまで簡易な読み物なのでその業績を身近に感じることは難しいと感じた。また,高等学校の化学では製鉄や銅の電解精錬について学ぶが,その発展についての産業史については触れられることはほとんどない。そこで,産業史や産業遺産を中等教育に有効に導入できる方法を研究し,生徒がその業績を実感できるような教材を開発したいと考えた。

【結果と考察】

9月に世界遺産の富岡製糸場,群馬県立世界遺産センターセカイト,群馬県立自然史博物館などを訪問した。ここで得た成果をもとに,高校3年生の授業,中学理科部の活動において「ナイロンの合成とカイコの繭からとった絹糸の比較」という教材作成を行った。高校3年生の高分子の授業では,ナイロンの合成の実験は幅広く行われているインパクトの大きい実験であるが,養蚕事業の歴史および絹糸を取る体験と組み合わせることでより印象に残る実験となることが分かった。なお,これはナイロンの化学構造を未習の中学生に対しても科学に対する興味関心を高める実験として有効であることが示唆された。この成果は次年度以降に学会等で発表する予定である。

また,12月には明治日本の産業革命遺産である官営八幡製鉄所跡,三重津海軍所跡,三池炭鉱跡(万田坑跡,宮浦坑跡,宮原坑跡,大牟田市石炭産業科学館など),を訪問し,教材としてどのように利用すべきか,どのような形で中等教育に導入できるか研究を行った。

石炭,製鉄産業は歴史分野でも中学理科,高校化学分野でも少し触れられるだけで実験で活用できる教材はあまりない。しかし,日本の近代化には欠かせないものであったためにこれを理科の実験授業に導入できれば高い学習効果を得ることができると考えており,昨年以前に訪問した足尾銅山,新居浜銅山,石見銀山の訪問成果と併せて教材開発を進めている。