| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 高等学院 | 教諭 | 森下 壽典 |
- 研究成果概要
研究課題を遂行するため、8月後半に、下関近辺の赤煉瓦建築物、門司赤レンガプレイス、小森江周辺の赤煉瓦建築物(ニッカウヰスキー門司工場等)、小倉の旧東京製綱小倉工場事務所棟、および福岡市赤煉瓦文化館を実際に訪れ、その資源としての活用状況を確認し、資源化をめぐる語りについての資料収集を行った。
このうち、福岡市赤煉瓦文化館は、1990年まで市歴史資料館として使用された後、1994年2月に有料会議室等を備えた「赤煉瓦文化館」として再オープンした。さらに2019年8月には、カフェの設置や「エンジニアフレンドリーシティ福岡」の一環としての改修を経て、エンジニアの交流拠点「エンジニアカフェ」としてリニューアルされている。同館は、活用のあり方が時代に合わせて検討・更新されてきた事例である。現在は、外国人を含む多くの人々がオープンスペースとして利用しており、活用の面では成功しているといえる。しかし、文化資源としての価値の周知・伝達という点では、むしろ後退しているという印象を受けた。
一方、門司赤煉瓦プレイスは、これまでの研究で活用成功の要件として明らかにしてきた「エリアでの保存・整備・活用」が目指された事例である。しかし実態としては、少なくとも常時多くの人々が利用している状況にはないことが観察された。
また、旧大里製粉所(現・日本製粉)を転用したニッカウヰスキー門司工場は、現在も工場として稼働中であり、観光客の誘致を主目的とした活用は行われていない。しかし、その景観が「北九州市 時と風の博物館」の「常設展示」と位置づけられているほか、映像撮影地としてのプロモーションも行われるなど、資源化が進められている。産業遺産・近代化遺産がいわばリヴィング・ヘリテージ(生きた遺産)として存続している事例として特筆に値する。
このように、2025年度に実施した現地調査によって、これまでも継続的に研究を進めてきた赤煉瓦建築物の文化資源化について、研究を深化させるための基礎資料の蓄積が進んだと言える。