表題番号:2025R-050
日付:2026/03/25
研究課題量子化学計算による鉱物表面におけるペプチド形成機構の解明
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 国際学術院 国際教養学部 | 教授 | 稲葉 知士 |
- 研究成果概要
- 原始惑星円盤内に発見された有機分子から、原始惑星円盤内において無機分子より有機分子が生成されたと仮定することは自然である。次のステップとして、有機分子(アミノ酸)から生命に必要なより複雑なペプチド(タンパク質)の形成過程を特定することは重要である。アミノ酸からペプチドを形成するためには、濃集過程を考える必要があり、ガス状態でペプチドを生成するのは困難である。一方、はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料にある有機物は鉱物表面に濃集していたため、ペプチドなどの複雑な有機物は鉱物表面において生成されたと考えるのは自然である。 本研究では、すでに鉱物表面にアミノ酸が濃集していると仮定し、鉱物表面におけるアミノ酸のペプチド形成について調べる。鉱物表面の構成成分として、ダストの主成分である珪酸塩鉱物を考える。鉱物表面での反応は基本的にガス中での反応であるため、エネルギー的にペプチド形成は有利になる。また、鉱物表面を形成している原子はペプチド反応を引き起こすためにプロトン輸送を助ける触媒として働き、反応のエネルギーバリアを大きく下げることが予想される。 今年度は、ダストに存在する珪酸塩鉱物表面のモデル化を行った。石英結晶のヒドロキシル化した表面をもつ鉱物表面のモデル化において、珪素6原子を含む超分子のクラスタモデルを用いた。しかし、珪素6原子のみを含む超分子のクラスタモデルでは、量子化学計算の構造最適化において、初期の構造から離れた構造に落ち着いてしまい、実際の石英結晶構造から大きく外れてしまうことが分かった。そのため、石英結晶構造をもつ鉱物表面のモデル化には、より多数の珪素原子を含んだ超分子のクラスタモデルか、多数の珪素分子を分子力学的に扱い、少数の珪素分子を量子力学的に扱うモデルを採用する必要がある。