| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 百瀬 桂子 |
- 研究成果概要
無意識・無自覚のうちに視聴覚刺激中の小さな逸脱に気づく、潜在的な知覚と注意に関わる認知機能の指標を特定することを目的として、楽曲のメロディ展開に対する予測性を反映する瞳孔径変動と脳波変動成分の探索を行った。既報(特定課題研究助成2023C-218、2024R-043)で収集した、楽曲聴取中の脳波・瞳孔計変動の時系列と楽曲に対する主観評定値(親近度、予測性、好み)に、同様の方法で追加収集したデータを加えて解析を行った。楽曲は、明らかなピッチ逸脱音を含む12秒ほどのメロディ(日本の歌謡曲やJPOP 60曲)で、ピッチ逸脱音に対する瞳孔拡張反応(PDR)と事象関連電位(PDR)を抽出した。これらの主成分分析の結果、PDRから3主成分(潜時700, 1500, 2800 ms)が、ERPからは4主成分(潜時100, 300, 600, 900 ms)がそれぞれ確認された。これらの各主成分値に対し、逸脱音の有無と主観評定値の3項目を集約した合成評定値を説明変数とする分散分析を適用したところ、PDRの3成分とERPの潜時600ms主成分は逸脱音により振幅が有意に増大し、予測・親近性が低い場合に潜時2800msのPDR主成分の振幅が有意に増大した。皮質下処理に関わる瞳孔変動には一貫して逸脱反応が出現し,親近・予測性の程度の違いも2800msの後期成分に現れることが確認された一方で、皮質応答であるERPには逸脱の有無の影響のみが見られた。後者について、使用した楽曲刺激は様々なピッチを含む複雑な構成であったため、ERPの背景脳波低減が不十分で、親近・予測性の違いが不明瞭であった可能性が考えられた。今後は、より有用な特徴量を得るため、楽曲を構成する個々の音符の予測容易性を統計的に算出し、その時系列と脳波・瞳孔径変動時系列の相互相関解析を検討する予定である。