表題番号:2025R-044 日付:2026/03/28
研究課題「教師のように考える」ことの探究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 浅田 匡
(連携研究者) 人間科学学術院 助教 改発智也
研究成果概要
本研究では,「教師のように考える」過程における授業の設計(授業づくり)段階の思考過程に焦点を当てている。研究協力者は,板書式授業設計を行っている女性教師A(教職経験30年以上)と子ども中心の国語科授業を行っている男性教師B(教職経験30年以上)の2名である。教師Aは算数授業の設計において,子どもからの解決方法の予測に基づき,どのように授業展開を想定するかがポイントなることを強調した。教材内容によるが,多くの子どもが発案する解決方法以外に,低学力児からの解決方法,高学力児あるいは学習塾で先行学習をしている子どもからの解決方法を予測し,それらの解決方法をどう扱うかを判断しながら,板書計画として具現化されるように授業の流れを体系的に構成していた。算数という教科の特性に一因があると考えられるが,教師Aの思考過程は授業目標に到達するプロセスがアルゴリズム的に構成されていた。他方,教師Bは物語文を題材とし,子どもの読みを重視した授業を構想した。したがって,板書も各グループの子ども自身が行い,それを発表し話し合うという授業過程が構想されていた。すなわち,授業における子どもの反応に基づいて即時的に対応していくという教授スタイルであり,授業の設計段階では詳細な指導案の形式で授業は構成はされていなかった。これは,幼稚園教師の保育案に見られる環境を構成し,その環境の中で現れる子どもの反応に基づいて支援・指導するというスタイルに類似したものであった。授業後,教師Bの振り返りでは教師の関わりのタイミングに非常に迷ったという言及があり,授業設計段階での子どもの反応の予測を十分に考える必要があったという省察が行われた。これら2事例から,教師の授業設計段階における思考のタイプが存在することが示唆され,教科の特性を踏まえつつ,これまでの教師の思考過程モデルを参照しながら,さらに検討していく必要がある。