表題番号:2025R-030 日付:2026/03/07
研究課題分割統治型配置間相互作用法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 助教 高島 千波
研究成果概要
分子物性や化学反応を理論的に予測できる手法のひとつである量子化学計算は、計算対象の大きさに伴って計算コストが指数関数的に増大する。そのため計算精度を損なわずに計算コストを削減する手法が求められている。分割統治法は計算対象となる系全体を部分系に分割し、部分系に対して得られた結果を統合することで全系に対する結果を得る手法である。これまでHartree–Fock法や2次摂動法、結合クラスター法などで計算コストの低スケーリング化を達成してきた。本研究では分割統治法を、複数の電子配置の線型結合で多電子波動関数を表現する配置間相互作用 (CI) 法へ拡張することを目的とした。電子波動関数の積を任意の電子に関して積分することで定義される縮約密度行列に着目した。部分系に対してCI方程式を解いて得られた部分系の縮約密度行列を重ね合わせることで全系に対する縮約密度行列を構成し、これを用いて全系のエネルギーを見積もった。水素鎖モデルを用いた数値検証の結果、結合解離領域においては、開発した手法は少ない電子配置ですべての電子配置を考慮する完全CI法の解を化学的精度で再現することがわかった。また、層状水素モデルや環状水素モデルにも適用し、計算精度と提案手法の適用範囲を検討した。本研究成果を国際会議における招待講演とポスター発表、国内会議における口頭発表で報告した。