表題番号:2025R-028 日付:2026/02/01
研究課題多様な観測データによる暗黒エネルギーと暗黒物質の起源の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 辻川 信二
(連携研究者) 京都大学基礎物理学研究所 准教授 Antonio De Felice
研究成果概要
 本研究では,暗黒エネルギーと暗黒物質の本質的な起源を理論的に解明することを目的として,重力理論の拡張と観測可能量との関係を精密に解析した.特に,宇宙の加速膨張や構造形成の背後にある物理を,理論と観測の両面から統合的に理解することを目指した.
 まず,スカラー・テンソル理論およびベクトル・テンソル理論において,暗黒エネルギーの状態方程式が宇宙定数境界(ファントム・ディバイド)を横断する力学的メカニズムを体系的に明らかにした.本研究では,ゴースト不安定性を回避しつつ,宇宙定数境界の横断が可能な一般条件を導出し,重力波観測や大規模構造形成と整合的な新たな模型を提示した.これにより,将来の精密観測によって暗黒エネルギーの性質を検証するための理論的基盤を与えた.
 さらに,Aoki氏らとの共著論文では,暗黒エネルギーと暗黒物質が相互作用する一般的な理論を有効場理論の枠組みで構築し,背景進化から線形摂動までを統一的に記述した.特に,暗黒エネルギーと暗黒物質の間の結合が宇宙の加速膨張や構造形成に及ぼす影響を定量的に評価し,多様な観測データと直接比較可能な理論手法を確立した.さらに,既存モデルを包括的に整理することで,観測的に識別可能な特徴を明確化した.これにより,暗黒成分間の相互作用の有無を将来の観測から制限する道筋を示した.これらの成果は,暗黒エネルギーと暗黒物質の起源を重力理論の観点から統合的に理解する上で重要な進展であり,理論模型の絞り込みと観測検証を同時に進めるための指針を提供するものである.
 上記の研究成果は,10編の学術論文として執筆するだけでなく,3つの国外の研究会においても口頭発表として報告し,本課題による研究成果の幅広い周知を行なった.これにより,本研究の成果は国際的にも共有され,関連分野の発展に寄与する基盤を形成した.