表題番号:2025R-019
日付:2026/03/25
研究課題白亜紀/古第三紀境界の一次生産長期崩壊は本当か?新しい同位体比測定手法からの 検証
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 守屋 和佳 |
- 研究成果概要
本研究では,白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界の絶滅事変時を対象として,海洋表層における一次生産の長期停滞と生物ポンプの抑制による海洋生態系の崩壊仮説を検証する.K/Pg境界では,地球外天体の地球への衝突後に,海洋表層における一次生産が停滞し,海底への有機物供給が抑制されたことにより,海洋生態系全体に絶滅が伝播したと考えられてきた.しかし,近年の研究では,一次生産が停滞したとされている期間において,海底に棲息する有孔虫の棲息密度が増加していたことが示されており,一次生産停滞仮説,特に従来法による生物ポンプの活性の推定法に疑問が呈されてきた.
上記の研究目標達成のため,統合国際深海掘削計画第342次航海で得られた白亜紀末期から古第三紀初期の堆積物に着目し研究を実施した.この航海で得られた堆積物を洗浄し,長径63マイクロメーター以上の微化石を抽出した.抽出した微化石うち,浮遊性有孔虫について,その化石群組成を解析し,白亜紀末期から古第三紀初期の変化を検討した.その結果.K/Pg境界の大量絶滅後も、浮遊性有孔虫の形態的多様性は回復に時間を要し,地球外天体の衝突による一次生産停滞が発生したと考えられる時期よりもさらに長期間において形態的多様性は低いまま維持されていたことが明らかになった.
この結果に基づき,安定同位体比解析等も行うことで,白亜紀末期から古第三紀初期にかけての一次生産や生物多様性の変遷の解析に展開する予定である.