表題番号:2025R-018 日付:2026/03/31
研究課題大規模変異体探索により母性遺伝の分子機構を解く
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 西村 芳樹
研究成果概要

ミトコンドリアおよび葉緑体は独自のゲノムをもち、これらは、多くの真核生物で母性遺伝するが、その分子機構はいまだ不明確である。本研究では、単細胞緑藻クラミドモナスにおける葉緑体母性遺伝を対象として、母性遺伝が撹乱された変異体単離に挑んだ。

まず葉緑体ゲノムにSpectinomycin耐性マーカー、Kanamycin耐性マーカーをもつ雌雄の株を準備した。それぞれに対してParomomycin耐性カセット、Hygromycin耐性カセットをつかったランダム挿入変異導入をおこない、雌株約13,000株、雄株16,000株の変異体プールを調製した。これらの変異体プールを交配して、SpectinomycinParomomycinを含む培地で生き残るコロニーを探索した。問題となったのは、未成熟な接合子(Vegetative diploid: 以降VD)の存在である。VDは雌雄の配偶子が融合した二倍体で、雌雄の細胞核、ミトコンドリアおよび葉緑体DNAを維持する細胞であり、野生株の交配で約5%生ずる。VDは本スクリーニングにおける主要なノイズであったため、これを除去する方法の開発が必須であった。これまでVD をクロロホルム燻蒸で除去する手法が用いられてきたが、再現性が低かった。そこでさまざまな処理条件を検討した結果、−30ºCでの凍結処理が効果的であることが判明し、VGに由来するノイズを劇的に低下させることに成功した。現在、母性遺伝変異体の候補株が17株得られており、これらについて母性遺伝の撹乱を再確認し、TAIL-PCRRESDA-PCR、次世代シーケンス解析などの手法をもちいて原因遺伝子の特定を目指している。