表題番号:2025R-013
日付:2026/04/04
研究課題史料集成と景観復元に基づく中世大和国宇智郡の在地構造に関する研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文学部 | 准教授 | 下村 周太郎 |
- 研究成果概要
- 本研究は紀伊や河内との国境地帯に位置し、金峯山・高野山・葛城山などの宗教的聖地に囲まれ、古代には飛鳥の都に近く、中世には南朝の拠点が置かれるなど、政治的にも軍事的にも重要な位置を占めてきた大和国宇智郡(現・奈良県五條市)に関する歴史資料を収集・分析し、現地調査も実施した上で、当地の在地構造を立体的・複眼的に解明することを目的とする。本年度取り組んだ活動は特に下記の諸点である。第一に、坂合部郷(現・五條市西部)の調査・研究を行った。具体的には、戦国期の坂合部郷および郷内諸村の境界について記録した3点の史料(古澤家文書)の内容分析を行い、市立五條文化博物館において原本校訂も実施した。その中で、既刊『五條市史 史料』の釈文の誤りを正すことができた。第二に、坂合部郷・二見郷・三箇荘の故地において現地調査を行った。特に史料上に見える地名等に関わって景観や地形の調査を行い、いくつかの地名について現地比定することができた。第三に、宇野荘や近内荘の関連史料、特に春日大社文書および「南都闘乱根元事」の読解・分析を行った。特に後者は鎌倉後期の興福寺両門跡の対立に関わるものであり、今後関連史料の収集分析とあわせて検討を進めていく必要があることを確認した。第四に、天理大学附属天理図書館が所蔵する「霊安寺御霊大明神略縁起」の写本2点の紙焼を入手し、検討を加えた。同史料については、既刊『五條市史 史料』に五條市現地に所在する御霊神社所蔵本の翻刻が掲載されており、これまでの研究でも活用されてきたが、これ以外にも複数の写本が各地に伝存している。本史料は中近世における御霊信仰の広がりを考える素材ともなるものであることから、今後、諸本の校合や伝写過程の検討をさらに進めていく必要がある。