表題番号:2025R-011 日付:2026/03/23
研究課題日常的実践の抵抗性と創造性:セルトーの「なんとかやっていく」論の社会学的展開
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 草柳 千早
研究成果概要

 本研究の目的は、ミシェル・ド・セルトーの日常的実践論を社会学的に応用する途を理論的に探索しつつ、現代社会における抵抗的実践の「なんとかやっていく」あり方を、いくつかの社会学的視点から理論的・経験的に分析することにある。研究組織として、20222025年度基盤研究(C)「日常的実践の戦術性に関する研究」を遂行したコアメンバー(草柳千早・武内保)に、それぞれの関心から日常的実践についての社会学的研究に取り組んできた4名—-竹中均(早稲田大学)、関水徹平(明治学院大学)、大坪真利子(東洋大学)、堀真悟(早稲田大学)—-を研究協力者に加え、プロジェクト・チームを作り研究を開始した。

 研究期間中、当初の計画に従い、主に以下の3つを行った。(1)6名のプロジェクト・メンバーで共同して、セルトーの「なんとかやっていく」論についての理論的整理・再検討を進めた。その一環として、セルトーの理論的な主著『日常的実践のポイエティーク』(L’invention du quotidien 1: Arts de faire)を講読する読書会を、2025815日、1025日、2026124日に開催し、ディスカッションを行なった。セルトーの理論的・方法論的な仕事について、各自の研究と結びつけながら検討することができた。(2)(1)と並行して、セルトーの「なんとかやっていく」論をもとにメンバーそれぞれが掲げる研究課題について研究を進め、プロジェクト全体として日常的実践を多角的かつ立体的に捉える準備をおこなった。(3)2026年度科研費基盤研究(C)への応募に向けて、プロジェクト全体および各研究協力者の研究課題について、研究計画を立案し、申請を行なった。各課題(概要)は以下の通りである。Ⅰ. 性的マイノリティのカミングアウト(大坪)、Ⅱ. 身体・生の管理をめぐる日常的実践(草柳)、Ⅲ. ひきこもりと抵抗の実践(関水)、Ⅳ. 記憶現象における創造性と抵抗性(武内)、Ⅴ. 美術工藝論と障害論(竹中)、Ⅵ. 権力からの解放(の神学)(堀)。いずれの課題も、日常的実践において意図せずとも生起している抵抗と創造、その多層性と多様性を明らかにしていくことにつながる研究であり、本研究期間終了後もプロジェクトとして続けていく。