表題番号:2025R-008 日付:2026/04/02
研究課題デジタル画像処理技術を用いた仏教実践・文献形成史の総合的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 山部 能宜
研究成果概要

本年度の図像方面での主たる成果は以下の二点である。まず敦煌より将来されニューデリー国立博物館に蔵される観経変相のうち、退色が著しいものをデジタル処理により明瞭化した上で、その内容を精査した結果を敦煌での学会で発表し、またこれらの作品のうちStein 427に注目して、特に未生怨(王舎城の悲劇)および十三観の部分を、当麻曼荼羅および典拠である『観無量寿経』と詳細に比較検討した結果を発表準備中である。

また、トゥルファン・バイシハル第3窟の主室左壁に残る劣化が著しい維摩経変相を、同じくデジタル処理し明瞭化した上で、その内容を断片的に残る回鶻語の題記と比較検討した。これらの題記は図像の内容に言及するものではなく、その意義は明瞭ではない。私は、このような題記がもつ仏教実践上の意義を考察して、トゥルファンでの学会でその成果を報告した。

また、文献史に関しては、『観仏三昧海経』に含まれる説話を、その着想の源であったと思われる『賢愚経』の説話と比較検討し、前者が後者を参照することが年代的に可能であったかの検討を行って、その成果を『賢愚経』淵源の地であったと伝えられるコータンでの学会で発表した。

加えて、ボストンで開催されたアメリカ宗教学会年次大会でのパネル「シルクロード:物質的文化の邂逅において、司会ならびにコメントを担当し、また東洋大学で開催されたシンポジウム「シルクロード北道の佛教遺跡の解釈:クチャ、カラシャール、トゥルファンにおける図像プログラムと初期探検隊のもたらした手がかりにおけるセッション「クチャ石窟の図像プログラム(一):視覚的プログラムと儀礼機能」の司会とコメントを担当した。これらの活動により、海外の中央アジア研究者との学的交流を深めることができたことは有益であった。