表題番号:2025R-004
日付:2026/03/27
研究課題犯罪・非行の背景に見られる社会における孤独・孤立の問題に関する基礎的研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 小西 暁和 |
- 研究成果概要
- 本特定課題研究助成費の研究期間に、札幌刑務所、加古川刑務所、広島刑務所といった刑事施設、広島保護観察所といった更生保護官署、北海道大学病院附属司法精神医療センターといった医療観察法上の指定入院医療機関、特定非営利活動法人共働学舎(新得共働学舎)、社会福祉法人清水旭山学園、社会福祉法人邑元会(しびらき)といった福祉施設を参観・訪問し、調査を実施した。現代の社会において、私達は、〈自己決定/自己責任〉のレトリックを用いがちである。もちろん、それぞれの人が、自分の望むように個人個人で自由な選択をすることは尊重されるべきではある。しかし、我々が生きていくためには、それだけでは十分ではない。古くからも言われてきたように、人間は社会性を持つ動物である。そのため、生きていく上でも互いに支え合うことが本来的に必要なのである。我々は、誰もが、誰かに、あるいは何かに「依存」して生きている。そうなると、完全な自己決定もなければ、完全な自己責任もないのではないか。我々がつくる「社会」の中で起こったことには、私達はそれぞれ何らかの責任があるとも言える。実際、〈自己決定/自己責任〉の論理が蔓延する中で、個人個人による社会の分断の末、「孤独・孤立」が大きな社会問題となっている。犯罪や非行の背景にも、多くの場合、社会における「孤独・孤立」の問題が見られる。何らかの「生きづらさ」を抱えつつも、家庭からも社会からも孤立し、孤独の状態にあった事例が多く見られる。こうした「生きづらさ」は他人事ではない。家庭の問題や職場でのハラスメント、個人的な病気や障害など、誰もが大なり小なり「生きづらさ」を抱えているのではないかと思われる。こうした中でこそ、互いにケアを図る、支え合える社会が求められているのではないか。他人事でなく自分事として捉えるということでもある。こうした社会観を踏まえた制度構築が今求められていると言えよう。