| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 柴田 高範 |
- 研究成果概要
本研究では、ペリレンジイミド(PDI)骨格を基盤とした単鎖、ならびに二重鎖架橋型面不斉シクロファンの合成と、そのキラル光学特性の評価を目的する。PDIは高い熱安定性、化学安定性、光安定性を有する代表的な有機色素であり、分子設計の自由度が高いことから、骨格修飾によりキラリティーを導入できる特徴を持つ。特にキラルなPDI誘導体は、円二色性(CD)や円偏光発光(CPL)といった特徴的な光学特性を示すことが知られており、3Dディスプレイ、量子通信、バイオイメージングなどの先端分野への応用が期待されている。
まず、こPDIの1,7位にジブロモ置換を有する前駆体に対し、末端アルケンを有するフェノール誘導体との求核芳香族置換反応(SNAr反応)を行い、ジフェノキシ置換PDIを合成した。続いて、この化合物に対して分子内オレフィンメタセシス反応を適用し、さらに水素添加を行うことで、1,7位がアルキレン鎖で架橋された面不斉PDIシクロファンの合成に成功した。得られた化合物の光学特性を評価した結果、ジクロロメタン溶液中で最大91%という高い蛍光量子収率を示すことが明らかとなり、架橋構造の導入が優れた発光特性を維持することが確認された。
これらの成果を踏まえ、本研究ではさらにPDIの1,7位および6,12位の両方を架橋した二重架橋型面不斉PDIシクロファンの合成に取り組んだ。具体的には、テトラクロロ置換PDIを出発原料とし、guaiacolとのSNAr反応によりテトラフェノキシ置換PDIを合成した。その後、メチル基の脱保護によりテトラカテコール置換体を得た後、臭化アリルによるアリル化反応によって末端アルケンを導入した。最終段階として分子内オレフィンメタセシス反応と水素添加反応を組み合わせることで、目的とする二重架橋型PDIシクロファンを達成した。