表題番号:2025Q-023 日付:2026/04/12
研究課題回転分子モーターのトルク生成機構解析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 高野 光則
研究成果概要
Foモーターとべん毛モーターはリン脂質膜を挟んだプロトンの電気化学ポテンシャル差をトルクに変換する回転モーターである。本研究ではこれら回転分子モーターのトルク成績機構解明のため、全原子MD計算に取り組んだ。Foモーターについてはこれまでの研究において回転子c-ringの回転角に対する自由エネルギー地形(FES)を解析し、プロトン流とカップルしたトルク発生を定量的に示したが(Kamiyama, et al., 2023)、電気化学ポテンシャル差が無く原理的に正味のトルクが生じえない状況においてもFESに大域的な傾斜が見られていた。本研究ではまず脂質膜分子による影響が無いことを示した上で、FESの大域的傾斜はFoの非平衡緩和過程におけるブラウニアン・ラチェット機構によって生み出されていることを示した。べん毛モーターに関しては、近年の研究によりMotA/MotB 複合体が回転モーターであることが示唆されていることを念頭に置き、これまでのFoモーターのトルク生成機構の研究で得られた知見をもとに、全原子モデルMD計算によってMotA/MotBの回転を再現した。さらに、トルク生成機構の解明のため、Foモーターで見出されたラチェット機構を念頭におき、MotA/MotB内部に形成される水チャネルの動態に着目した解析を行った。