| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 講師 | 林 宏樹 |
- 研究成果概要
本研究では、高感度なRNA検出法の開発に向けて、核酸増幅反応を適用した電気化学センサにおいて取得する電流値の増大を引き起こすセンシング機構を調査した。DNA酵素はグアニン四重鎖(G4)構造に対して、鉄イオンを含むポルフィリンであるヘミンが結合することによって、過酸化水素を還元するペルオキシダーゼ活性を示す。本センサは、対象分子存在下においてのみ核酸増幅反応を進行させ、多数のDNA酵素を電極上に形成させることで、過酸化水素の還元反応を電子伝達分子を介して電流値として取得する。そこで、高い酵素活性の発現がセンサ感度に影響することから、G4構造の塩基配列や周囲のイオン環境について検討した。初めに、塩基配列の異なる2種類のG4構造に対して、ヘミンを添加することでDNA酵素を形成した。その後、過酸化水素とペルオキシダーゼ活性評価試薬を添加することで、酵素活性に依存した呈色反応を評価した。また、G4構造の安定性が周囲のイオン環境によって変化することから、緩衝液中のイオン種の影響を調査した。その結果、カリウムイオンを含む緩衝液中において、最もペルオキシダーゼ活性を示すG4構造の塩基配列を決定した。続いて、高いDNA酵素活性を示すG4構造を用いた電気化学センサの測定条件を探索した。DNA酵素を利用した電気化学センサにおいて、DNA酵素以外によって電子伝達分子が酸化されることは測定に影響を与える。そこで、DNA酵素以外によって酸化される要因として、電位走査範囲や溶存酸素の影響を検討した。その結果、DNA酵素以外による酸化の影響を低減したところ、取得される電流値のシグナルノイズ比の向上を確認した。以上より、医療応用に求められる短時間でのaM領域のRNA検出の達成に向けて、DNA酵素の構造や測定系を適切に設計することで、高感度な電気化学バイオセンシングに繋がることが示唆された。