表題番号:2025Q-018 日付:2025/10/21
研究課題バイオミネラル多孔質体内での分子挙動解析とミクロ-マクロ物性間の相関関係の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 松田 佑
研究成果概要
 多孔質材料はフィルタや触媒をはじめとして広範な分野での応用が進んでいる.本研究では,秩序構造を有した多孔質材料に着目した研究を進めている.特に微生物が形成するバイオミネラル多孔質材料に着目した.バイオミネラル多孔質材料は,円筒形,円形,楕円形,多角形さらには星形など非常に多様な構造の種類があり,また表面には規則的な孔が配列されている.バイオミネラル多孔質材料は現在主に吸湿材への応用が知られている.しかし,バイオミネラル多孔質材料の特異な多孔質材料内部では,ランダムあるいは単純な格子状の多孔質材料に比べて分子や粒子は特異なふるまいを示すと考えられ,これらの特長を活用した熱流体デバイスへの応用が期待される.そこで本研究ではデバイス応用へ向け,細孔内での分子やナノ粒子の拡散・吸着現象を単一分子・粒子計測法(Single-Molecule/Particle Tracking; SMT/SPT)によって直接計測し解析することを目指している.昨年度までは2次元断面での計測を主として実験を行っていた.その結果,多孔質材料内でブラウン運動から外れた特異な拡散挙動(異方的な分子/粒子の拡散運動)や壁面への分子/粒子の吸着の検出に成功している.本年度ではより詳細な解析を行うために,2次元断面を複数計測することで3次元でのSMT/SPTを実施することを目指し実験系の改良を実施した.次年度以降は3次元SMT/SPT計測によって,分子/粒子運動のより詳細な運動の検出と解析を実施する.