表題番号:2025Q-016
日付:2026/02/05
研究課題電気パルスを外部刺激とした高選択性分離技術確立のための機構解明
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 教授 | 所 千晴 |
| (連携研究者) | カーボンニュートラル社会研究教育センター | 准教授 | 犬束学 |
- 研究成果概要
本研究では、マイクロ秒オーダーの電気パルス放電を用いた局所加熱技術を適用し、複数の実用複合材料に対して異種界面分離の有効性を実証した。
まずリチウムイオン電池正極材を対象とした検討では、アルミニウム集電箔とリン酸鉄リチウム活物質層の界面に電気パルスを印加することで、全体加熱や薬液処理を用いることなく活物質層の剥離が可能であることを示した。放電は集電箔表面から界面に沿って進展し、ジュール加熱およびプラズマ膨張に伴う局所的熱応力によって接着界面が選択的に剥離され、活物質の結晶構造や化学組成に顕著な劣化は認められなかった。同様の現象は銅集電箔と黒鉛を主とする負極活物質との剥離にも有効であった。
CFRPを対象とした研究では、炭素繊維と樹脂マトリクス界面に繊維方向に電気パルスを集中させることで、繊維の連続性を維持したまま樹脂成分を剥離できることを確認した。高速度撮影および可視化解析の結果、放電経路は炭素繊維ネットワークに沿って形成され、繊維周囲で局所的な加熱と膨張が繰り返し生じることで界面剥離が進行することが明らかとなった。この手法により、従来の機械的破砕法で問題となっていた短繊維化や繊維強度低下を回避できる可能性が示された。
さらに被覆電線を対象とした検討では、金属導体と樹脂被覆界面に対する選択的分離を実証した。プレ破砕との組み合わせと電気パルス条件を最適化することで、金属溶融を伴わずに被覆のみを剥離でき、銅導体表面の酸化や損傷は最小限に抑制された。
これらの結果は、電気パルス局所加熱法が多種多様な材料に対して異種界面の選択的な分離に有用となり得ることをを示しており、複合材料リサイクルにおける共通基盤技術としての有効性を示すものである。