表題番号:2025E-049 日付:2026/03/25
研究課題運動学習の意識的戦略に潜む認知バイアスの解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) データ科学センター 講師 山田 千晴
研究成果概要
 運動学習における意識下バイアスとは,本人も気づくことのできない “染みついたクセ” のようなものである。従来,スポーツや楽器演奏場面などにおける運動学習には,(1)意識できない潜在的学習と(2)意識できる戦略的要素が寄与すると考えられてきた。本研究は,この意識下バイアスに対する影響力が最も強いと考えられる文化と加齢の要因を操作し,意識下バイアスの違いがどのように運動学習過程を変容させるのかを明らかにすることを目的とするものである。これを達成するため,研究計画全体では,日本およびノルウェーにおいて,健常若年者・健常高齢者・認知症患者を対象とした心理学実験を実施する。具体的には,視覚運動変換課題とよばれる実験パラダイムを,①上肢の到達運動,②歩行運動に適用し,その学習過程を比較検討する。この実験の結果に基づいて,潜在的学習・意識可能戦略・意識下バイアスの3変数を導入した状態空間モデルを構築し,全人類に拡張可能な運動学習モデルの提案を目指す。 本年度は,上記計画のうち,主に健常若年者における上肢到達運動の運動学習について検討した。具体的には,日本およびノルウェーにおいて,健常若年者を対象に,上肢到達運動を用いた視覚運動変換課題実験を実施した。日本人24名,ノルウェー人34名のデータを取得済みである。これらのデータから,意識的な戦略的要素は母集団や使用デバイスの影響を受け変調する一方で,潜在的学習の要素はヒト普遍的なものであることが示唆された。得られた知見は,2026年度4月に開催予定の国際学術会議Society for Neural Control of Movement 35th Annual Meetingにて発表予定である。