表題番号:2025E-025 日付:2026/04/03
研究課題天然変性タンパク質Praja1を用いた疾患型Tauセンサーの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院先進理工学研究科 助教 小野寺 航
研究成果概要
 アルツハイマー病型認知症を含む一部の神経変性疾患患者においては, tauタンパク質の凝集物が脳内に観察される。この観察結果に基づき, 該当疾患の早期発見にtauタンパク質をマーカーとして援用する試みが盛んになされている。特にtauタンパク質の検出に当たり, 特異性および検出限界が課題となっていることに加えて, 認識部位に高特異性を有する生体分子 (e.g. 抗体) を利用した場合, 分子の耐久性や保存性も懸念されている。
 本研究では, 特定の構造を持たない天然変性タンパク質に着目し, 生体分子でありながらも高い耐久性・特異性を有するタンパク質をtauタンパク質の認識素子として利用した。具体的には, tauタンパク質を特異的に認識するPraja1タンパク質を認識素子として援用した。結果として, Praja1タンパク質に対してランダムな変異を導入し, よりtauタンパク質に結合しやすい改良型Praja1をフローサイトメトリーにより選別することに成功した。この選別に当たっては, BiFC法を用いており, tauタンパク質に結合しやすい変異を持つPraja1ほど, 導入した細胞が蛍光を放つ仕組みとなっている。生化学的な実験により, tauタンパク質と強固に相互作用することを確認できた。併せて, Praja1タンパク質の精製過程を最適化することで, より純度の高いPraja1をバイオセンサーに付与できるよう準備を進めることができた。今後は, tauタンパク質に疾患型の変異を導入し, 上記のスキームに則り, 疾患型tauタンパク質により結合するPraja1の変異体取得に進む予定である。