表題番号:2025E-024 日付:2026/03/29
研究課題水和型NADHの産生源および作用点の探索
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 助手 高橋 弘大
研究成果概要

 近年、エネルギー代謝に重要な補酵素であるNADHが水和を受け、生体内で毒性を発揮することが明らかとなってきた。申請者はこれまでに、水和型NADHの高感度定量測定系を開発し、水和型NADHが修復酵素の欠損条件下において顕著に蓄積することを見出した。これらの知見は、水和型NADHの蓄積が細胞機能に影響を及ぼす可能性を示唆するものである。そこで本研究では水和型NADHの毒性発現機構の理解に資することを目的として、生体内における水和型NADHの産生機構の解明を目指した。水和型NADH修復酵素欠損線維芽細胞を用いて、水和型NADHの経時的な量的変化を解析した結果、水和型NADHが顕著に蓄積する特定の時点を同定した。次に、この水和型NADH蓄積開始直前にNADHを補酵として利用するエネルギー代謝酵素Aの阻害剤を添加し、水和型NADHの蓄積の変動について確認を行った。その結果、エネルギー代謝酵素Aの阻害により、水和型NADHの蓄積は完全に消失した。このことから、水和型NADHはエネルギー代謝経路において産生される可能性が示唆された。さらに、エネルギー代謝酵素Aの下流経路を中間代謝物アナログによりバイパスした条件下においても、水和型NADHの蓄積は認められなかった。この結果は、水和型NADHの産生がエネルギー代謝酵素Aの反応段階に依存することを示唆する。さらに、水和型NADH産生機構の普遍性を確認するために、水和型NADH修復酵素欠損肝実質細胞を用いて同様の解析を行った結果、同様に水和型NADHの蓄積が観察された。一方で、エネルギー代謝経路の活性化は水和型NADHの蓄積を促進させた。以上の結果より、生体内において、水和型NADHはエネルギー代謝酵素Aから産生されると結論付けた。