表題番号:2025E-017 日付:2026/04/03
研究課題昆虫のフ節を規範とする小型超軽量劣駆動機構の2次元把持モデルの構築
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 助手 石橋 啓太郎
研究成果概要

本研究の目的は,昆虫のフ節を規範とする劣駆動機構の把持モデルを構築することである.昆虫の脚は体節側から順に基節,転節,腿節,脛節,フ節(前フ節を含む)から構成されており,特に爪の付いているフ節の屈曲動作は把持力に大きく寄与することが生物学的に知られている.このフ節は爪牽引腱と弾性膜からなる劣駆動機構を備えており,爪牽引腱を主に腿節の太い筋肉(爪牽引筋)が引っ張ることで収縮し,爪牽引筋を弛緩させると弾性膜の弾性により伸展する.これにより脚先側を軽量化し脚の慣性モーメントを低減することができる.これまでに,この爪牽引腱と爪牽引筋を形状記憶合金(SMA)アクチュエータで,弾性膜を超弾性合金シートで代替し,フ節の屈曲・伸展動作を再現したフ節規範型劣駆動機構を開発しており,小型超軽量でありながらフ節の屈曲により高い把持性能を発揮することを確認している.一方で, 本機構と把持対象の間に成り立つ力学的関係が明らかとなっておらず,本機構の設計論は確立されていない.そこで,本研究ではフ節規範型劣駆動機構の設計論の確立のために必要な力学モデルの構築を長期的目標とし,その基礎となる2次元把持モデルの検討を行った.把持対象の断面を楕円形状とし,体節に2つフ節規範型劣駆動機構を対称に備えた機体が把持対象を把持した場合について,Mapleを用いて幾何学的および静力学的計算を行った.加えて,これまでに製作した機体を用いて実機での把持実験も行い,シミュレーション結果と比較しモデルの検証および改良を行った.今後は,引き続きこの基礎モデルの改良のループを回し,より精度の高いモデルへと更新し,最終的には3次元モデルへの拡張を目指す.