表題番号:2025C-789
日付:2026/04/08
研究課題知覚世界を安定させる予測的視覚の発達過程
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 高等研究所 | 講師 | 高尾 沙希 |
- 研究成果概要
- 同じ大きさの円でも小さい円(周辺刺激)に囲まれた円(ターゲット刺激)は、大きい円に囲まれた円よりも大きく知覚される。この現象はエビングハウス錯視として知られている。研究代表者はこれまで、このエビングハウス錯視を用いて、文脈が大きさの知覚に及ぼす効果の時間的ダイナミクスを検討してきた。具体的には、周辺刺激とターゲット刺激の呈示タイミングをさまざまに操作する実験を行ってきた。その結果、周辺刺激がターゲットに先行する場合及び同時呈示される場合には、従来から知られている対比効果が観察された一方で、ターゲット刺激が周辺刺激に先行する場合には、知覚が周辺刺激の方向に引きづられる同化効果が生じることを発見した。つまり、文脈が先行すると対比、文脈が後続すると同化生じるという「先行対比―後続同化効果」が確認された。本年度は、この先行対比―後続同化効果の頑健性を調べるために、周辺刺激とターゲット刺激の呈示タイミングに加え、両者の時間的中間的に視覚マスクを呈示する実験を行った。その結果、マスクが呈示された場合でも周辺刺激が先行する場合には通常の対比効果が見られ、周辺刺激が後続する場合には同化効果が見られた。しかし、周辺刺激が先行していても、周辺刺激とターゲット刺激の時間間隔が短い場合には、対比効果が消失することが明らかとなった。以上の成果については現在論文化を進めており、2026年度内にJournal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance誌に投稿予定である。