表題番号:2025C-758 日付:2026/04/03
研究課題メンタルヘルスの状態と相談行動との関連性
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 川村 顕
(連携研究者) 早稲田大学人間科学研究科 大学院生 髙木綾乃
研究成果概要
目的:
本研究では、日本の全世代における、メンタルヘルスの重篤度とストレスの相談有無の関連について、その実態を明らかにする。
仮説:
H1: 「メンタルヘルスの状態問題なし群は、中度の問題あり群と比較して、相談確率が有意に低い」
H2: 「メンタルヘルスの状態重度の問題あり群は、中度の問題あり群と比較して、相談確率が有意に低い」
方法:
国民生活基礎調査匿名データ個票のうち、世帯票と健康票を用いた。相談行動の有無を被説明変数、3分類したメンタルヘルスの状態を主たる説明変数とし、重回帰分析による定量分析を行った。メンタルヘルスの状態分類にはK6スコアを用い、先行文献に基づいて、0〜4点を「問題なし」、5〜12点を「中度の問題あり」、13点〜を「重度の問題あり」とした。統制変数として、性別、年齢階級、世帯人員数、婚姻状況、調整済み支出額、学歴、仕事の状況、通院の有無、最も気になる悩みやストレスの原因、調査年、をそれぞれ用いた。 
結果:
入手サンプルのうち81,253件を対象として分析を行った。中度の問題あり群ダミーをベースラインとした分析の結果、中度と比較して、問題なし群では0.9%(p<.01)、重度の問題あり群では6.7%(p.<01)だけ相談確率が低く、仮説H1、H2ともに成立した。性別、および、40歳を閾値とした2区分の年齢で4つのサブサンプルを作成し、同様の分析を行った場合でも、すべてのサブサンプルで重度の問題あり群における相談確率が中度に比べ有意に低くなっていた。
結論:
本研究ではメンタルヘルスの重篤度によって相談有無の傾向が異なり、特に重度の問題あり群で相談確率が低いことが明らかになった。重度の問題を抱える人たちに対する能動的なアプローチの重要性が示唆された。