| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 准教授 | 横野 恵 |
- 研究成果概要
本研究では、ヒトゲノムデータの個人識別性と医学研究への利活用をめぐる法的・倫理的課題の整理を目的として、文献調査およびオンラインイベントの開催を通じた検討を行った。文献調査では、欧州における欧州健康データ空間(European Health Data Space: EHDS)の制度設計に重点を置き、二次利用における法的根拠のあり方や、ゲノムデータの保護、従来の同意依存型枠組みからの転換に関する議論の動向を整理した。これにより、EHDSにおいて個人の関与の在り方を再構成しつつ、ゲノムデータを含む幅広い健康医療データの利活用を確保する方向性が模索されていることが明らかとなった。
また、研究者、倫理審査委員、医療従事者等を対象としてオンラインイベントを開催し(開催日時:2026年1月23日、参加者数:約100名)、国内の研究・実務の現場における課題や懸念について意見交換を行った。イベントでは、倫理指針と個人情報保護法との関係や倫理審査のあり方、データ利活用に対する現場の理解と不安などについて具体的な指摘がなされ、実務的論点が抽出された。
さらに、本研究の知見を踏まえ、「生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省)、ゲノムデータの個人識別性に関する検討会(厚生労働省)、医療等情報の利活用の推進に関する検討会(内閣府)の構成員として、倫理指針の見直しに関する検討等に参画し、研究現場の実態および国際的動向を踏まえた政策提言を行った。
以上の検討を通じて、ゲノムデータの特性を踏まえつつ、国際的整合性と国内における運用可能性を両立するルールの在り方について基礎的知見を得ることができた。本研究の成果は、今後の関連制度の見直しや実務指針の検討に資するものである。