表題番号:2025C-755 日付:2026/02/10
研究課題キプロスにおけるEU市民権をめぐる国際環境
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 鈴木 規子
研究成果概要

本研究は、2020年にイギリスがEUを離脱(いわゆるBrexit)して以降、EUが加盟国市民に認めているEU市民権をめぐって加盟国・EUの関係や、加盟国の市民権政策がどのように変化するのか実態を明らかにすることを目的とする。研究対象はキプロスで、20251028日にキプロス島のパフォスおよびリマソルを訪問して次の2点について調査した。(1)キプロスにBrexit以前から居住しているイギリス人移住者にインタヴュー調査を行い、彼らの移住の背景や、Brexit後の生活変化などについて話を聞くこと。(2)キプロス政府がEU加盟後に始めた外国人投資家への市民権販売の実態や現地の状況を調べることである。

キプロス人研究者に調査協力をお願いし、12人のイギリス人にインタヴュー調査を行った。キプロスのパフォス近郊およびリマソルまで車で案内してもらい、近年の都市開発地域やイギリス軍基地の辺りの様子を見たり、外国投資や投資家ビザについても話を聞いたりした。市立大学図書館で資料を収集した。

調査結果:(1)については、Brexitによってイギリス人はEU市民でなくなり、EU市民権を喪失した。他方、2004年にEU加盟を果たしたキプロスは、1960年までイギリス植民地支配であったこともあり、イギリスとの歴史・文化・政治的・言語的な関係もあってイギリス人移住者が多い。キプロスへの移住を促進した面もあったEU市民権がなくなったことで生活の変化を訴える意見も少しみられた。

(2)については、外国人の投資を目的に国籍を販売していたキプロス政府は、EU委員会から是正勧告が出されて、国内でも政治家の汚職問題が起こっていた。ユーロ参加によって外国人観光客も増加している一方、外国人労働者も増えており、出入国管理や市民権に関するガバナンスについて様々な課題がみえてきた。