表題番号:2025C-754 日付:2026/03/22
研究課題ベンチャー企業のガバナンスの変遷
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 好川 透
(連携研究者) 社会科学総合学術院 好川
研究成果概要

この研究の目的は、株式上場後のベンチャー企業におけるコーポレートガバナンス体制、特に取締役会の変化を分析することにある。2025年秋から上場ベンチャー企業の創業者と社外取締役のインタビューを進めており、2月までに収集したデータを分析した結果を途中経過として論文にまとめて国際学会に投稿した。

これまでのデータ分析で解明できたことは、コーポレートガバナンス改革は創業者のアイデンティティを媒介したプロセスとして構築されるということである。上場企業に対するコーポレートガバナンスの高度化の圧力は高まっているが、ベンチャー企業の創業者が自分のアイデンティティを通してその圧力にどう対応するかによって、異なるガバナンス体制が構築される。支配的なアイデンティティを持つ創業者は、コーポレートガバナンスを不要なコストとして捉えるため、シンボリックな対応につながる。一方、より自己規制的な創業者はコーポレートガバナンスを自分の意思決定の間違いを軽減するための「保険」とみなす傾向がある。したがって、そのような創業者は、コーポレートガバナンスをより肯定的に捉える傾向がある。これらの結果から、創業者のアイデンティティはコーポレートガバナンス改革を受け入れるスイッチとして機能するということが解明でききた。