表題番号:2025C-708
日付:2026/04/03
研究課題非マスリスクを担保する保険契約の合理的規律の探求
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 商学学術院 商学部 | 教授 | 中出 哲 |
- 研究成果概要
- わが国の保険法では、各種の保険を、給付の態様に着目して損害てん補か定額給付に分けた体系を前提として、研究が進められてきた。しかし、保険が対象とするリスクの特性に着目すると、統計等から一定の予測が可能なマスリスク(人の死亡、交通事故等)と、データや件数が少なく予測が難しい非マスリスク(風力発電、人工衛星、大規模サイバーリスク等)では、リスクに大きな違いが存在し、それゆえ、そのリスクを対象とする保険の事業にも違いが生じる。そうであれば、保険法研究も、その違いをもとにした研究が必要と考えられる。すなわち、前者は、同種の多数の契約を前提とする保険契約となるが、後者は、一件毎のリスクに応じた個別性の高い保険契約となり、両者では、保険契約法の理論の中身に違いがあるはずである。本研究は、リスクの性格に着目した申請者の非マスリスクの保険の研究の一部となるもので、非マスリスクの保険に関する科研費研究の一環としてのものである。これまで、関係する論文を執筆し、日本保険学会全国大会における共通論題として発表を行うなどの研究を進めてきたが、本特定課題は、海外の状況を調査し、今後の研究交流の端緒とするために利用した。特定課題を利用して、台湾を対象として、予測が難しい地震リスクへの対応(地震保険、その他)、非マスリスクの保険契約の状況(契約書式、準拠法)、保険仲介者の状況(保険仲立人の機能)、保険紛争解決(専門性の観点)などについて、関係専門家との面談による調査も行い、日本との共通点や相違点を確認し、今後の研究の論点や方向性を考えるうえでの示唆を得ることができた。また、台湾における保険関係団体や研究者との面談は、今後、両国間での学術交流を進めていくうえでの重要な機会となった。