表題番号:2025C-703 日付:2026/03/16
研究課題ドロマイト問題の探究:非晶質相からの構造秩序化プロセスの検証
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 奥村 大河
(連携研究者) 東京大学 助教 佐久間杏樹
(連携研究者) 東京大学 准教授 板井啓明
(連携研究者) 東京大学 教授 鍵裕之
研究成果概要
地球表層環境における最大の二酸化炭素リザーバーは石灰岩であり、その主要構成鉱物の一つであるドロマイト(CaMg(CO3)2)は地球規模の炭素循環を理解する上で重要な存在である。ドロマイトは常温常圧で熱力学的に安定な炭酸塩鉱物であるにもかかわらず、実験室での合成は困難であることが知られている。現世の堆積環境においてドロマイトの沈殿は稀であるが、中生代以前の古い地層には広範囲にわたりドロマイトが豊富に存在する。このように、現在の環境ではほとんど形成されないにもかかわらず過去の地球では大量に形成されたという事実はドロマイト問題として知られ、長年未解決のままである。これまで、特定の微生物活動や無機物質の関与が指摘されてきたが、汎地球的なドロマイト形成を説明するには不十分であった。最近の研究では、非晶質物質を前駆体とすることや、地球表層に豊富に存在する粘土鉱物が触媒として機能する可能性が報告されているが、その具体的な形成機構は解明されていない。本研究では、ドロマイト形成における鉱物表面の触媒効果を検証するため、高過飽和溶液から非晶質物質を形成し、そこにイライトやカオリナイト、石英を添加する合成実験を行った。その結果、カオリナイトや石英を添加した場合に比べ、イライトを添加した系では非晶質物質の結晶化が促進されることが判明した。ただし、本来のドロマイトはc軸方向にCa面とMg面が交互に積層する構造を持つが、本実験で得られたのはCaとMgがランダムに配置されたプロトドロマイトであった。また、鉱物無添加の条件下では結晶化が進行しなかった。以上の結果から、特定の鉱物表面がドロマイト形成に影響を与えることが示唆された。今後は鉱物種によって触媒能の差異が生じる反応メカニズムを解明する必要がある。