| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 小林 敦子 |
- 研究成果概要
本研究の目的は、家族はどのように戦争の記憶を次世代に継承するのかを明らかにすることにある。申請者は、これまで主に中国、台湾を研究領域とし、それぞれの地域の家族における記憶の継承について、インタビュー調査を行ってきた(科研基盤(c)「家族の記憶の継承と家庭教育に関する国際比較研究」2023-2025)。しかしながらアジア太平洋戦争に関する家族の記憶の継承に関して、日本と、中国・韓国ではかなり異なる印象を持っている。日本が忘却の方向にあるのに対して、中国、韓国では、必ずしもそうではない。
本研究では、その実態を明らかにし、東アジアの家族において、戦争の記憶はどのように継承されているのかを課題として設定した。
研究手法としては、インタビュー(3代の家族<祖父母―親―子世代、もしくは親―子2代>を、日本、中国、韓国で実施した。また、戦争関連博物館は、家族における戦争の記憶の継承において、重要な役割を果たすものと考えられる。本研究課題においては、中国及び韓国における戦争関連博物館の訪問から、祖父母・親の世代はどのように戦争に関する記憶を次世代に伝えているのかを検証した。
研究の成果として、日本では主に中国大陸からの引き揚げ者のご家族のインタビューをしたが、家族においては、戦争の記憶が継承されていないこと、忘却の方向にあることが明かになった。それに対して、韓国では、家族の中で恨みといった感情を伴って、戦争の記憶が次世代に継承されていること、ただし、若い世代では無関心が広がりつつあることが指摘できる。また、中国では、中国人民抗日戦争記念館といった博物館を媒介としながら、戦争の記憶が博物館教育という形で家族においても継承されていると言えよう。
こうした研究成果を土台として、国際シンポジウム「戦後東アジア地域における家族の記憶と家庭教育―家族の文化の継承をめぐって」を開催した(学生、一般公開、2026年1月9日、早稲田大学、参加者 約80名)。