表題番号:2025C-691
日付:2026/04/03
研究課題マグマの爆発性のリアルタイム評価のためのデータベース―榛名火山新期活動の事例研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 鈴木 由希 |
- 研究成果概要
本研究は榛名火山45ka以降の新期活動を対象に、噴出物の石基組織データベースを構築し、噴火様式の違いを生む物理条件の解明と、将来の噴火における噴火推移予測を目的としたものである。研究実施の背景には、過去10年間の網羅的試料収集と岩石学的研究の蓄積、および気泡を含む体積算出の3次元解析技術の進展がある。対象マグマは浅部の珪長質マッシュと深部苦鉄質マグマの相互作用で生じた珪長質安山岩~デイサイトである。噴火様式は、1) 溶岩ドーム形成(火砕流発生無し)、2)溶岩ドームの重力的崩壊・爆発的破壊、3)軽石流の発生(噴煙柱形成なし)、4) 噴煙柱形成と噴煙柱崩壊による軽石流生成の4類型に整理し、それぞれ代表試料を選定した。見かけ密度と石基組織を解析した結果、見かけ密度は溶岩について、1)に比べると、2)が僅かに低い。軽石については、3)に対して、4)が系統的に低い。これは石基発泡度および脱ガス効率の差を反映しており、1)から4)に向けてマグマの火道での上昇速度が上昇したことを示唆する。また斜長石石基結晶の結晶度と数密度は、1)から4)に向けて系統的に変化し、噴火様式・減圧速度の多様性と対応していると考えられる。これらにより石基組織に基づく噴火推移予測の可能性を示した。なお研究期間の最後で、4) に関して新試料(二ツ岳伊香保噴火の降下軽石)も本研究の発展のために新規に採取した。今後は上昇速度を含むマグマ上昇過程の定量化が必要となる。その一環として、マグマ上昇時に発生したメルト包有物の含水量の低圧への再平衡化程度と噴火様式との関連性を明らかにする必要がある。