表題番号:2025C-686
日付:2026/03/27
研究課題戦争記憶の伝承に関する文学・歴史とミュージアムの実践に関する研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 坪井 秀人 |
- 研究成果概要
- 戦争記憶の伝承にかかわってミュージアムがどのような役割を果たしたのかについて調査する研究で、私が代表者として同時に申請していた2026年度~2028年度の科研研究プロジェクト・基盤研究B(採択)の予備的研究も兼ねる意味を持つ。その科研プロジェクトでも協力をお願いしている東京国立近代美術館の主任学芸員の鈴木勝雄氏と同館が主催した戦争美術に関する展示の方法について協議したほか、日本近代文学館の企画に関わった展覧会『白秋万華鏡』に関わって『日本近代文学館年誌』に同展の意義に関して論考を執筆し、北原白秋と戦争との関わりを展示する意味についても言及した。また戦争の伝承や戦争の継続性についての研究を行い、現在、その成果を論考にまとめる準備を行っている。具体的には第二次世界大戦(あるいはアジア太平洋戦争)の記憶が反語的に戦後世代に反映したものとして1960-1970年代の世界的な学生運動とその挫折後における戦争(反戦)や暴力に対する意識、自己否定や自虐・自傷というモメントを文学・映画・美術や種々の芸術表現から考察する研究である。文学では桐山襲、立松和平、桐野夏生などの連合赤軍を扱った日本の小説、エルフリーデ・イエリネックやJ・G・バラードなどの性と暴力を主題とする海外の小説、映画ではパオロ・パゾリーニやデレク・ジャーマンの映画、ウィーン・アクショニズムの芸術運動などを取り上げて考察を進めている。またウィーンに渡航し、Albertina Modernで自傷アートを代表するマリーナ・アブラモヴィッツの大規模な展覧会、また身体表現のイメージ化を特集したTanzbildという展覧会を観た。またオーストリア・レジスタンス記録アーカイブ(DÖW)やウィーン文学館(Literaturhaus Wien)において戦争の記憶や戦争責任に関する展示の方法について学んだ。これに加えてウィーン・アクショニズムの負の遺産とも言うべきオットー・ミュールのコミューン(AAO)の跡をブルゲンラント州のフリードリヒスホーフに訪ねて、当時のコミューンのメンバーの話もうかがうことが出来た。