表題番号:2025C-679 日付:2026/04/01
研究課題17世紀フランス・オペラにおける〈劇中劇〉の発展
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助教 高安 理保
研究成果概要
キノーの最後の朗唱劇からオペラに至る神話的主題の扱いの変遷と一貫性に着目し、オペラにおける劇中劇構造がもたらす集団心理的効果を、キノーがルイ十四世の時代を神話的に演出する現代派の作家であるという観点から分析し、2025年度秋季日本フランス語フランス文学会にて口頭発表をおこなった(フィリップ・キノーにおける神話の史実化 —レシから共通体験となる「témoin」—)。日仏演劇協会より招待いただいた研究会の発表では、リュリ/キノー最後のオペラ『アルミード』を、キノーが約30年前に手がけた喜劇に劇中劇として組み込まれた機械仕掛けの音楽付き悲喜劇『アルミードとルノー』に立ち返って分析し、中間の作品群からキノー演劇・オペラをつなぐテーマを明らかにしてオペラ『アルミード』の新たな解釈可能性を示した(フィリップ・キノーによる「翻案」としてのふたつの『アルミード』)。また、現代文芸コース主催研究集会(フィリップ・キノーによる叙事詩の舞台化 〜言葉と視覚のアラモードな遊戯〜)、「フランス近世の〈知脈〉」第12回研究会(キノーの戯曲における「知」的交流:にこやかな挑戦と反撃)でおこなった口頭発表では、それぞれキノーの戯曲中に見られる他ジャンルの文芸作品や歴史からの引用・翻案が観客の現実に依拠したメタ演劇的な楽しみの要素となっていることを示し、この成果は次年度の研究課題の発見につながった。また、コメディ・フランセーズ、ソルボンヌ・ヌーベル大学、ヴェルサイユ・バロック音楽研究所共催のダンクール没後300年記念シンポジウムを契機に、キノーのオペラ作品が他作家の音楽劇内で劇中劇として引用される例に関心を持ち現在翻訳・考察を進めている他、オペラ『ロラン』上演に際して演出家に着目されたリュリ楽譜の特徴が、戯曲の蓄積としてのキノー台本に見られる特色と合致していることを実際の上演に立ち会って発見した。音楽と台本の相乗効果についても追究したい。