表題番号:2025C-660 日付:2026/03/05
研究課題生成AIを用いた教育用問題およびデータ作成に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) データ科学センター 教授 小林 学
研究成果概要
近年テキスト生成AIおよび画像・動画生成AIが実用に供されるようになり,またその性能が場合によって人間と同等あるいは凌駕する商用サービスが始まっている.このような背景のもとで生成AIの教育への能動的な活用は大変注目されている.本研究では主にテキスト生成AIを活用して,統計学およびデータ科学の教育を目的としたデータの自動作成を行うフレームワークについて実験を行い,その有効性に関する評価を行った.具体的にはデータの変数の構造に着目し,変数の種類(質的・量的)および変数間の関係をマーメイド記法を用いて教員がプロンプトとして与えるとその構造を持ったデータのストーリーを生成AIが出力する.さらにこのストーリーに沿ったデータの確率分布を生成AIに自動作成させた.これらを変数間の関係および質的・量的変数の種々の組み合わせ300種類を作成し,教員によって評価を行った.結果として教員が個々人で考えるストーリーや確率分布とは異なるバリエーションが多数生成され,有効であることが分かった.一方でプロンプトで指示を行った条件付き独立性に無理のある設定のストーリーや,倫理的に問題となるようなストーリーも一部生成されることも分かった.これらの結果は生成AIの進展とともに変わる可能性もあるが,何でも自動化すれば良いわけではなく,教員が教育目的を達成できるかどうかの視点を持って生成されたデータのストーリーおよび確率分布等を一度確認した上で利用する必要があることが明らかとなった.さらに,特定の分析手法を学習することを目的としたデータのストーリーについても実験を行った.具体的には重回帰分析,因子分析,パス解析などを例として,これらを学ためのデータのストーリーおよび確率分布を生成させた.このとき,分析者が誤りやすい点をデータの中に入れる(例として多重共線性を持たせるなど)ことや,因子分析における潜在変数に解釈を持たせることなどもストーリーとして持たせることを指示している.結果的に,生成AIはこれらの意図を的確に反映したストーリーを作成し,その有効性が明らかとなった.