表題番号:2025C-651
日付:2026/04/02
研究課題カイラル物質における非平衡現象の理論的研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 高等研究所 | 講師 | 大湊 友也 |
- 研究成果概要
- 今年度は、非平衡量子物性および光・スピン応答に関する理論研究を中心に成果を挙げた。まず、遷移金属ダイカルコゲナイド/強磁性体接合系において、マイクロ波照射によるスピン流の量子振動を理論的に明らかにし、その成果を Physical Review B に公表した。あわせて、二次元電子系へのスピンポンピングに関する研究を進め、関連する理論的知見をまとめた論文が Journal of Physics: Condensed Matter に掲載された。さらに、B20型キラル化合物を対象として、キラルフェルミオンに由来する光電流生成および高次高調波発生の理論を構築し、その成果を Physical Review Research に発表した。本研究内容は、キラル物質における新たな光機能の可能性を示すものとして、早稲田大学のプレスリリースでも紹介された。このほか、トポロジカル物質における強磁性共鳴変調や、遷移金属ダイカルコゲナイド/強磁性体接合系におけるスピンゼーベック効果を用いたバレー量子振動の検出に関する研究を進め、現在論文を投稿中である。また、B20型カイラル半金属における光電流生成と非線形光学応答に関する成果について、日本物理学会、キメラ準粒子領域会議、CEMS Symposium on Emergent Quantum Materials 2025 などで発表を行い、関連分野の研究者との議論を通じて研究内容の発信と深化を進めた。以上のように、本年度は、スピン輸送、バレー応答、キラル物質の非線形光学といった複数のテーマにおいて、理論的理解の前進と対外的な成果発信の両面で着実な進展が得られた。