表題番号:2025C-648 日付:2026/02/03
研究課題広域観測が切り拓く宇宙超構造と極限環境における銀河の形成進化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等研究所 准教授 嶋川 里澄
(連携研究者) Kindai University Professor Kaiki Inoue
(連携研究者) Gifu Shotoku Gakuen University Associate Professor Atsushi Nishizawa
(連携研究者) The University of Tokyo ICRR Fellow Yongming Liang
(連携研究者) The University of Tokyo JSPS Research Fellow Satoshi Kikuta
(連携研究者) The University of Tokyo Assistant Professor Haruka Kusakabe
(連携研究者) Saint Mary’s University Professor Marcin Sawicki
(連携研究者) The University of Tokyo Professor Nobunari Kashikawa
(連携研究者) The Cosmic Dawn Center DAWN fellow Kei Ito
(連携研究者) The Cosmic Dawn Center Senior Researcher Francesco Valentino
(連携研究者) NAOJ Associate Professor Masayuki Tanaka
(連携研究者) NAOJ Postdoctral Fellow Makoto Ando
(連携研究者) Tohoku University Professor Tadayuki Kodama
(連携研究者) JAXA Postdoctral Fellow Kazuki Daikuhara
(連携研究者) Kwansei Gakuin University Associate Professor Mariko Kubo
研究成果概要
我々の住む宇宙は巨大な泡を幾重に織り重ねたような疎密構造(宇宙大規模構造と呼ぶ)で形成されていて、銀河の分布もこれに従う。本研究は宇宙の異なる環境が銀河の形成進化に与える影響、とりわけ極度な高密度ないし低密度環境が与える環境効果のメカニズムの解明を目的としている。

研究期間前半では、13平方度に渡って紫外線から近赤外線波長域まで網羅した多色深撮像データを活用し、赤方偏移2-4にある巨大ライマン雲(Ly-Alpha Nebula)探査を遂行した(Shimakawa et al. 2025 MNRAS 540:3365)。探査領域は多色深撮像データのある中で最大の探査体積をカバーしており、これにより他の先行研究の約10倍以上の候補天体(クエーサー)に対してライマン雲探査を実現できたことが本研究最大の特色となっている。結果、宇宙で極めて稀な巨大ライマン雲候補を3天体発見した。一方で、環境効果がその発現に与える影響は統計的に確認されず、多くの場合局所的な効果が支配的であるという結論に至った。

研究期間後半では本年度からすばる望遠鏡で始動した次世代広域分光器PFSの観測データ解析を行った。前年度に弱重力レンズ効果で検出されたボイド候補に対するPFS共同利用観測時間を獲得しており、幸いにPFS稼働初期から独自の科学データを得ることができた。PFS装置の複雑性、稼働初期に見られるデータ校正の未熟成など様々な課題がある中、初期解析で観測対象のボイド候補で有意な銀河数密度の低下が確認できた。残りの観測が年度末に残っているため論文化に至るほどの段階にはまだ進んでいないものの今後の本解析の結果が期待される。当該プロジェクトは申請者をPIとした科研費(基盤研究B)にも採択されており、次年度以降もさらなる発展が見込まれる。加えてコミュニティベースで展開されているPFSレガシーサーベイの初期データの解析にも携わり、1つの超銀河団候補の分光同定に成功した。本結果は現在論文として準備中で、年度末もしくは来年度初頭に査読論文誌に投稿予定である。

またPFSを用いた研究プロジェクトは他にも複数進行中・計画中で、関連して科研費挑戦的研究(萌芽)および、三菱財団自然科学助成に申請した。