表題番号:2025C-647
日付:2026/04/03
研究課題暴力を伴う抗議と野党への信頼
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 高等研究所 | 講師 | 門屋 寿 |
- 研究成果概要
- 本年は、選挙後の抗議運動が野党への信頼に及ぼす影響を明らかにする研究課題に取り組んだ。野党への信頼は、とりわけ権威主義体制や民主主義が未定着な体制において、体制内競争の実質性を把握するうえで有用な指標であると考えられる。他方で、自由で公正な選挙が十分に保障されていないこうした体制下では、選挙後に野党が選挙結果や選挙過程に対していかなる反応を示すかが、市民の野党評価を大きく規定すると考えられる。不正が疑われる選挙に対して異議を唱え、大規模な抗議運動を動員することによって、野党への信頼が高まる可能性が想定される。しかし、選挙後の野党の行動が市民の態度に及ぼす影響については、いまだ十分な知見が蓄積されていない。そこで、国際世論調査アフロバロメーターの個票データを用いて、選挙後の抗議運動が市民の野党への信頼にいかなる影響を及ぼすのかを実証的に検討した。その結果、想定していた関係を支持する結果は得られなかった。この理由としては、大きく二点が考えられる。第一に、従属変数として用いた野党信頼指標の粗さである。この指標は野党全体への信頼を測定するものであるが、選挙やその後の抗議運動に際して、野党が必ずしも一枚岩で行動するとは限らない。そのため、野党内部の分断が生じた場合には、抗議運動が生起しても野党全体への評価が上昇しない可能性がある。第二に、選挙後抗議運動の指標もまた、その発生有無を示すダミー変数にとどまっていた点である。以上の限界を踏まえ、今後はより詳細なデータの作成や、対象事例を絞った精緻な分析を進めていく予定である。なお、本研究課題では想定された結果は得られなかったものの、その遂行過程で得られた知見は、間接的に他の研究課題にも活用することができた。