表題番号:2025C-632 日付:2026/02/02
研究課題元雑劇『竹葉舟』のテキストについての考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 演劇博物館 助手 李 家橋
研究成果概要
 元雑劇『竹葉舟』には、元刊本と『元曲選』本の二種類のテキストが存在するが、いずれのテキストにも第四折の套曲の前に他の曲が置かれている。特に元刊本の場合、【節節高】から【柳葉兒】までの八曲はほぼ套曲としての性格を持ち、第四折の套曲の前に配置されることにより、一折内に二つの套曲が現れるという不都合が生じている。
 本研究の考察によれば、『竹葉舟』臧本第四折における【村裡迓鼓】から【勝葫蘆】までの四曲は、仙呂【點絳唇】(散誕逍遙)套曲からの借用であることが明らかとなる。元雑劇では、一折につき通常一つの套曲のみが用いられるため、臧本ではこの套曲から四曲だけが選定された。また、その歌唱者は外が扮する列御寇に改められ、すなわち脇役が挿曲を歌う形式が採用されている。これに対し、元刊本第四折の【節節高】から【柳葉兒】までの八曲は、全体としてほぼ一組の套曲と見なすことができる。これら八曲も原作本来の構成ではないが、先行研究が指摘するように商調套曲の一部であり、原作第三折に属すべきものと考えることはできない。むしろ、これら八曲はいずれも仙呂調に属する曲であり、劇団の芸人が散曲から借用し、上演に際して挿唱したものと考えられる。
 上記の研究成果は、20261月18日に早稲田大学で開催した「中国文学と東アジア漢文学青年学者フォーラム(中国文学与东亚汉文学青年学者论坛)」にて発表した。(発表タイトルは、「元雑劇『竹葉舟』版本考」である。)