表題番号:2025C-612
日付:2026/03/27
研究課題動的クラスタリングによる2型糖尿病リスクと併存疾患の経年変化の解析
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 国際学術院 国際教養学部 | 教授 | 汪 金芳 |
| (連携研究者) | Hosaka Clinic | Shigetoshi Hosaka |
- 研究成果概要
- 本研究は、前年度に開発したLIMEに基づく予測型クラスタリング手法を発展させ、2型糖尿病(T2D)リスクおよび併存疾患の経年変化を動的に解析することを目的として実施した。単年度の静的分析に対し、本年度は10年間の健康診断データを用い、個人のリスク状態の推移とその安定性を定量的に評価した。各年においてランダムフォレストとLIMEにより個人ごとの特徴量重要度を算出し、それに基づくクラスタリングを行った。さらに、クラスタ間の遷移の規則性を評価するため、相互情報量(Mutual Information)を導入し、各フェノタイプの時間的安定性を比較した。その結果、低リスク群および高リスク群は全期間を通じて比較的高い相互情報量を示し、状態が安定的に維持される傾向が確認された。一方で、中間的リスク群(軽度・中等度代謝異常や高血圧型など)は相互情報量が閾値付近またはそれ以下となる期間が多く、クラスタ間の遷移が頻繁に生じる不安定な状態にあることが明らかとなった。特に観察期間の中盤から後半にかけて、多くのフェノタイプにおいて相互情報量の一時的な低下が確認され、集団全体として健康状態の変動が大きくなる時期の存在が示唆された。さらに、各クラスタにおける併存疾患の分布を分析した結果、高リスク群では脂質異常症や肝機能異常の有病率が顕著に高く、これらがリスクの持続性と関連している可能性が示された。本研究は、T2Dリスクの時間的ダイナミクスとその安定性構造を明らかにし、特に中間リスク群に対する早期介入の重要性を示すものであり、個別化された生活習慣病予防・管理の高度化に貢献する基盤を提供することを期待される。